拘置所から帰ってきた父

拘置所から釈放されて帰ってきた時、親父の手はふるえ、歯はぐらぐらでした。特に手は、箸や茶碗を持つ握力もなくて、みな畳に落としていました。思想犯として捕まった人間は、拘置所のなかでは、塩気を抜かれるらしいのです。人間は塩気を与えると、非常に活動的になるので、拘置所では塩を抜いた食事にされていて、そのせいで親父の各関節が、全部いかれてしまっていました。