白米
おふくろは「米が減る」といって、米びつをいつも仕事場に持ち歩いていて、僕らはその米が欲しくてしょうがなかった。時々こっそり忍んでいって、米びつから一握り手にとって、弟と二人でその生米をカリカリ噛むと、□の中に白い液が出てきておいしくてね。そういう戦中ですから、本当に貴重な米だったですね。白い米の飯が食えるなんていうのは、子どもにとって最高のごちそうだったんじゃないのかな。僕らはとにかくわずかな生米を食べた記憶しかありません。