「はだしのゲン」外伝〜旅情編・長野〜
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「はだしのゲン」外伝〜旅情編・長野〜
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ものぐさ太郎の発祥の地、長野県。とある情報筋からのタレコミがあり、
松本市に食堂「ピカドン」なるものがあると聞き知り、早速取材してみようと思い、
忘年旅行でも兼ねて行ってきました。
飯を喰らうところのなのに「ピカドン」?まさかピカドン定食やピカドン御膳なんてのは無いだろう…いや、ひょっとするとひょっとするかもしれない…。我々一行は一抹の不安を憶えながらも、震える子犬のような気持ちで松本市に到着。
タクシーを捕まえて、「食堂・ピカドンまで」と運転手に伝えると、気難しい剣幕とは対照的な甲高い声色で「あんたらピカドンにいくんきゃ?」と尋ねられたので、結構、このあたりでは有名な食堂なのか…?と思い「ええ、結構有名なお店なんですか?」と尋ね返すと、「……。」運転手の返事はなく「これは信州大のテニスコート、広いできゃん?」となにか聞いてはいけない事でも、口走ったかと、不安が募るばかり。

10分ほど、タクシーを走らせると、我々の目には、まばゆい折り鶴のシンボルマークと伴にひときわ目立つ「ピカドン」の四文字が飛び込んできた。
あらゆる方向に対して「これでもか!」というほど掲げられた看板には「お食事 ピカドン」「喫茶・お食事 ピカドン」「定食・ラーメン・2階座敷 ピカドン」など無節操さが感じれれる。いったいどれが本当の店名なのだろうか?、建物もロッジ風のがっちりとした構えで威圧感さえある。
とよくよく見ると、な、なんと「準備中」の文字?もしかしてさっきのタクシーの運転手の無線連絡が幾度か繰り返していたのは……。なんて事ではないが、店内に人影もあるので、思いきって、扉を開けて「何時からなんですか?」と尋ねると、店主の奥方らしいキリッとした婦人が「5時からです」と以外とあっさり。
我々の向かう予定の温泉旅館への最終バスが5時30分だったので泣く泣く我々は退散する事に。さすが食堂「ピカドン」。
必ず喫茶店などにある漫画・雑誌類の棚には「はだしのゲン」2セットは堅いとふんでいた我々だったが、一瞬みた店内の様子だと「のたり松太郎」らしい背表紙しか確認できなかった。
なんて嘘っぽい記事だが、ホントのところ、この食堂ピカドンは信州大学の目の前にあり、学生たちが集う人気の食堂。今年の八月六日に放送されたNHKスペシャル「語り継ぎたい〜被爆地を離れて生きる〜」(製作・NHK広島)を見た方はご存知のはず。
この「ピカドン」の主人、 前座良明さん(81)広島で被爆し、姉の嫁ぎ先を頼ってここ松本に。40年前にこの食堂を開いた。店内の2階に、常連客や地元の学生を招きスライドの上映や、自ら、広島のいち生き証人として、原爆の恐ろしさを伝えている語り部の一人。戦後は闘病生活が続き、数種に及ぶガンに蝕まれ手術を繰り返す中、「ピカ(放射能)に負けてたまるか!」と怒りを込めて、この食堂を開く。実際、食事を摂れなかったが、「ピカドンなんかに負けるな!」という気持ちをいただいて我々はほんのりお腹いっぱいになりました。
(長野県松本市 にて)